人と比べる

人と比べちゃいけない、というのは最近よく使われる表現ではないでしょうか。ところが日本は伝統的に、人との関わり合いの中で自分の役割が決まるような社会であり、人と比べないどころか、何をするにも周りを見てから決めるところがあると思います。「お互い様」の精神と称される通り、周りにどう思われようが自分の生き方を貫く人を牽制しようとする雰囲気があります。これは欠点と解釈すれば、日本人の大きな欠点だと言うことも出来ます。なぜなら欧米人は一般的に、「人は人、自分は自分」という言葉に集約される個人主義的な考えで生きているところがあり、特に同世代の若い日本人と比較した場合、欧米の若者は実際に自分の考えを持ってしっかり生きているように見えるからです。たぶん日本人にとっての人と比べない生き方というのは、周りに流され易いという欠点を補うために欧米のいいところを上手く取り入れながら、自分の生き方の芯となる考えを形成しつつ周囲との協働力を失わないということかなと思います。ですが、文化としてとんでもない長年月続けて来た習慣を改めることがひどく難しいわけです。自分の人生観が人との比較に基づいていることを自覚するのがまず難しい。日本人に限ったことではありませんが、人生の幸不幸を人との比較から判断することをやめるというのは、人生の枠組みを根底から覆すに等しい大きな選択です。自分が人生でやりたいと思っていることが、本当に心からやりたいことなのか、それとも誰かと比較した結果そう決めただけなのかという問いも発生し、場合によっては何もかも洗いざらい再選択を迫られる羽目にもなります。しかし、私たちがもう一歩前進するためには必要な試練なのではないでしょうか。