人と比べない方が幸せだというのは確かにその通りだと感じるんですが、人と比べるのが良くないとか、比べてはいけないという戒律にしてしまうと窮屈だとも思います。人間の競争意識というのは本能的に備わっているんじゃないかと疑ってしまうほど根深いものでして、世界平和を実現するために私たちが克服すべき何かの正体なのかも知れません。競争というものを完全否定すれば、自己完結型の悟りの教えに至り、そこに人間関係における成長可能性の入り込む余地はありません。比べるからこそお互いに切磋琢磨して努力できる面があると言えます。ところで私が思うに人間の努力には二色ありまして、一つはもちろん自分の得意なことと言いますか、長所を伸ばして行く努力です。個性を磨き出すことで結果的に世の中に貢献することになる、順当な方向性だと思います。もう一つは、他人と比べることから来る劣等感から、誰かの何かに自分を偽装することによって、手っ取り早く欲しい結果を得ようとする努力です。例えば、学歴や経歴を詐称して生きて行くことも一つの努力ではあるわけです。しかしたとえ望む結果が得られたとしても、最終的に自分の実力が身に付かないことは、すべて無駄な努力だと思います。真っ当な努力をすれば必ずこの世的な成功が得られるとは限らないところが、脇道に逸れる人が出る根本理由なのでしょう。それでも真っ当な努力をし続けられる人というのは、それだけでかなり出来た人だと言えると思います。