宗教と政治

政教分離というのはヨーロッパの歴史の中から出て来たと思うんですが、現実はどうかは別として、日本でも一応採用されていると言えそうです。宗教家が政治にあんまり口出しするべきじゃないという一般常識がありますが、理想を言えばそうだとも思えます。しかしながら日本の元の姿は祭政一致だと言われており、人間社会がどの方向に進むべきかという考えがすべての根本に来るという点では、政治も宗教もまったく同じであると言わざるを得ないでしょう。宗教が積極的に政治に介入するべきかどうかはまったく別問題として、宗教家が政治に無知だったり、どんな状況下でも無関心を公言するようだとこれまた困ります。例えば、自分の国が戦争状態に突入してしまったにも関わらず立場を明確にせず、現実味のない心の平安を口にするだけに終始するような宗教家は、残念ながら人を導いて行く資質に欠けていることになるでしょう。無関係を装う傍観者ではなく、戦争になる前に具体的な手を尽くす、なってしまったら平和へのビジョンと道すじを明確に指し示す人こそ、真の宗教家にふさわしいのではないでしょうか。そしてこれは真の政治家に求められる資質とまったく同じと言えるわけです。政治と宗教を分けて考えることも必要ですが、目的は同じと考えることもまた必要ではないでしょうか。ただし、信仰を押しつける行為や制度があってはいけないと思います。